こんにちは、『依存症注意報』管理人でアルコール依存症の「みらはつ」です。
先日断酒をはじめて3年が経ちました(祝)
ボクは2018年6月に初めてアルコール依存症専門病院に行き診察を受け、アルコール依存症と診断されました。
治療として伝えられたのは、お酒を断つこと。
宣告されたその日から断酒をはじめ、イヤになって飲みそうになったこともあったけど、どうにかスリップすることもなく3年を迎えることができました。
今にして思えば、断酒はやってよかったと感じています。
こちらの記事ではボクが心がけた断酒を継続するコツを6つ紹介します。
飲酒はボクにとって完全に日常の習慣でしたので、断酒を始めたばかりのころは、離脱症状で精神的にかなり追い詰められましたが、こちらで紹介するコツを実行し飲まないことを習慣化することで、3年の断酒継続達成できました。
今でも飲酒欲求は完全には消えていませんが、日々の中で飲酒欲求をそらすことで断酒を続けられています。
断酒ってつらかった?
アルコール依存症者にとってお酒は人生の一部です。
楽しみであり、疲れた1日のストレス発散できる明日への糧でした。
「これ以上飲んだら身体に悪いんでやめましょう」、ってある日急に言われて、「はいそうですね、やめますねー」って簡単に断つことができたら苦労しません。
意志でやめられないから依存症なんです。
けどボクは3年間一滴も飲まずに断酒を継続することができました。
この3年間の断酒の体験を紹介します。
断酒1ヶ月~3ヵ月
断酒を開始して最大の難関は、最初の1ヶ月を乗り越えられるかどうか、です。
アルコール依存症は酒を断つと離脱症状が出ます。
これがボクはつらかった。
断酒をはじめて最初の一週間は飲みたいけどどうにかやり過ごせました。
一週間がたつと無性に飲みたくなる時がありました。
理由なんてありません、ただ半月前まで当たり前に味わっていた、あのフワッと酔った感覚をもう一度味わいたくなるんです。
外に目を向けると、24時間どこでも酒が売られていて、簡単に手に入られます。
コロナ前でしたので、街中には普通に酔った人たちがあふれています。
なのになんでオレだけ飲めへんの!?飲んだらあかんの!?
もう飲んだらいいやん、明日からまた断酒したらいいやん。
何度も何度も自分の中で繰り返し考えます。
答えなんかありません。
夜、眠れないときもありました。
どうにか眠れて、お酒を飲む夢を見ます。
それでも、酒には手を出しませんでした。
けどしんどかったです。
ゴールはありません。
どこまで行ってもお酒は飲めないんです。
周りが当たり前にやっていることを、ボクはやったらいけないんです。
断酒を開始して二週間がたつと、それまで日常の普通にやってきた仕事も、思いつめて仕事が手につかなくなり、鬱のよう状態になりました。
結果、主治医の先生のアドバイスに従って、ボクは休職して酒を断つことに専念することにしました。
休職中は毎日通院して診察を受けました。
飲みたい時はあったけど、心に余裕ができて安心感が生まれ、お酒には手を出しませんでした。
2ヶ月半休職し、酒を断つことを日常化して、断酒3か月目に自信をつけて社会復帰しました。
断酒1年~3年
離脱は完全になくなり、復職して通常の生活を送っていても、お酒のことを考えることが少なくなっていきました。
飲まないことが当たり前の習慣に定着していったのです。
自分を試すように飲み会に参加したこともありますが、飲むことはありませんでした。
飲みたい気持ちはゼロではありませんが、何が何でも飲みたいという断酒1ヶ月のころのような気持ちはありません。
断酒1年を超え、2年を迎える数ヵ月前に、世の中にコロナが蔓延し始めました。
タイミングはよかったかもしれません。
世の中から飲み会がなくなり、酔っている人を見かけることもほとんどなくなりました。
3年目に入ると断酒の安定期に入ったようにも思いますが、油断はしないよう心がけています。
断酒のコツ
最近は常に意識しているわけではありませんが、断酒をするうえで心のどこかで、心がけている断酒のコツを紹介します。
これはボクが休職期間中にクリニックで受講した依存症口座で学んだ知識と、断酒を行ってきた中で経験的に身についたことが融合したものになります。
H.A.L.Tを避ける
アルコールに手を出しやすくなる心理状況をあまり作らない、またそういう心理になりそうなったらその状況を避けることです。
H.A.L.Tはそんな危険な心理状況の略語になります。
H=HUNGRY 空腹
お酒を飲んでいた時は空腹になると、何かを食べようと思うと同時に、お酒が飲みたいと思うことがよくありました。
人間空腹になると不安やイライラしやすくなるので、そういう時間は回避するように心がけます。
A=ANGRY 怒り
怒りやイライラって一番お酒が飲みたくなる時ですよね。
けど、人間普通に生活していたらイライラする場面にはどうしても出くわしてしまいます。
その気持ちを無理やり抑え込むのはよくないですが、人に話したり、体を動かして発散することで気持ちを落ち着かせます。
また怒りやイライラになりそうかな?っていう状況に陥りそうになったら、その状況を回避できるように事前に察知して行動を変えることも心がけています。
L=LONELY 孤独・孤独感
人は一人になったり、孤独になるとお酒に頼りたくなります。
特に一人になってすることがなくなると、誰の目もないのでついついお酒に手を出してしまいます。
今の時代リモートワークばかりだとそういう環境になってしまうことが多いのではないでしょうか。
家にいて誰もいないときに、そういう状況になりそうになったら話せる友人や家族、仲間に電話するようにしましょう。
T=TIRED 疲労
へとへとに疲れた時って飲みたくなる、これはボクも一番わかります。
以前のボクはこの疲れが一番の飲酒の引き金でした。
残業で遅くなり、ようやく終わって疲れて会社を出たら、真っ先にコンビニに向かってストロングチューハイをグビグビ飲む。
これが一番お酒が体に染み渡るんですよね。
今でも残業をして退勤が遅くなると、あの頃のことを思い出してしまいます。
仕事をしていたら、疲れを回避するってなかなかできないので、こういう時はすっきりする炭酸系の飲み物を勢いよく飲んでゲップし一息入れます。
そしてタバコも一服して気持ちを落ち着かせるようにしています。
ヒマを作らない
ヒマな時間、手持ちぶさたな時間はできるだけ作らないようにします。
ボクの場合飲んでいた時は毎晩の晩酌が日課でしたので、飲まなくなると夜、ぽっかり時間が空きました。
断酒の初期は本を読んだり、DIYをしたり、テレビをみたりしていました。
このブログもそういうヒマな時間を作らないために始めました。
もともと凝り性で、興味がわいたら没頭するタイプなので、アンテナを高くしておもしろそうなことを探して記事を書くようにしています。
通院と断酒薬
断酒3ヵ月からは1週間に1回、半年たったころからは2週間に1回、専門病院への通院を続けています。
通院しても何か治療らしい治療をしているわけではなく、先生に会って世間話をして飲酒欲求を聞かれる程度です。
けどクリニックに行くと、ああ、自分はアルコール依存症だったんだって、思い出させてくれます。
クリニックで処方される断酒の薬はずっと飲み続けています。
初期のころは、抗酒剤のノックビン、断酒補助剤のレグテクト、眠れないとき用に眠剤のプラチゾラムを処方してもらっていました。
今はノックビンとたまにプラチゾラムだけです。
レグテクトは正直効いているのかよくわからない薬ですが、飲酒欲求がわいてきたときはとにかく信じて飲んでいました。
朝昼晩の食後とか関係なく、お酒飲みたくなったらプラセボ的に、これ飲んだら、飲みたい気持ちがどっか行く!と念じて炭酸水と一緒にぐっと飲んでいました。
ノックビンは今もずっと飲み続けています。
ノックビン自体には飲酒欲求を抑える働きはありませんが、体内でのアルコール分解を抑える働きがあるので、お酒を飲むと気持ち悪くなってしまう薬です。
本当に気持ち悪くなるのかいつか試してやろう、と思ってきましたが、いまだに実行はできていません。
今は完全な日課として朝起きたら飲みますが、最初のころはその日一日お酒を飲まないことを誓い、祈るように飲んでいました。
断酒を始めたばかりのころは夜眠れませんでしたので、眠剤としてプラチゾラムを処方してもらいました。
そのプラチゾラムを服用しても眠れないときは眠れませんでした。
もともとお酒はよく眠るために飲んでいたので、断酒するとお酒なしでどうやって眠ったらいいか分からず、眠ろう眠ろうと考えると、さらに焦って眠れなくなります。
そうなると逆に、眠れないならずっと起きておこう、ずっと起きてたらいつかは眠るだろう、と開き直るようになり、眠れないことが怖くなくなりました。
休職期間中は、別に次の日も仕事はないので、眠れなくてもいいやって思って、眠れない日は起き続けていました。
その代わり次の日の朝は、何時に寝ようが8時には起きるようにして、昼夜逆転しないようにしました。
そうすると次の日はたいがいプラチゾラムでちゃんと眠れ、それを繰り返しているうちに、いつしか普通に眠れるようになりました。
今では眠剤の力を借りなくても、自然と眠れるようになり、ほとんどプラチゾラムを飲むこともありません。
今思うとお酒を飲んでいた時は、何がそんなに眠れないことが怖かったんだと思ってしまいます。
炭酸水
断酒をはじめてから炭酸水メーカーを買いました。
もともと炭酸系の飲み物は好きで、お酒も炭酸割りはよく飲んでいました。
炭酸水は一気に飲んだ時のくゎーっとした爽快感と、おなかがガスでふくれてゲップが出る感覚が、飲んだ―!って感じがして飲酒欲求を紛らわせるのにちょうどよかったです。
特に夏場のうだるような暑さのときは、ビールをグビグビ、プハーしたい気持ちを紛らわせるのに効果大です。
なにより飲み過ぎても、結局は水なのでカロリーゼロで、せいぜいお腹こわすぐらいでほぼ無害です。
最初はペットボトルで炭酸水をケース買いしていましたが、ペットボトルゴミが大量に出るし、炭酸水メーカーの方がコスパがいいので、炭酸水メーカーを購入することにしました。
炭酸水メーカーのガスボンベは消耗品で購入してもペットボトルよりコスパはいいですが、自分でミドボンからガスを充填するとさらにコスパが上がります。
ミドボン(緑の炭酸ガスボンベ)だと酒屋で買うと年間数千円で炭酸水が飲み放題になります。
【e-soda】で始める炭酸水のある生活自助グループ AA
断酒を始めるようになってから、主治医の先生のすすめで自助グループのミーティングに参加するようになりました。
お酒をやめたい人たちが集まる自助グループは何個かありますが、ボクはAA アルコホーリクス・アノニマスというグループのミーティングに週に一回参加しています。
AAではミーティングといっても、かた苦しいものではなく、基本誰でも参加できます。
本名を名乗る必要もなく、みんなニックネームで呼びあっています。
実際、3年通っていますが、本名を名乗ったことは1回もなくほかのメンバーの名前もまったく知りません。
ミーティングは司会者からその日のテーマが発表されて、司会者から当てられたらテーマについて自由に話します。
テーマについて話すことが思いつかなければ、他のお酒についてのことでもいいですし、話したくなければ「パス」してもOKです。
断酒当初は何で行かないと行かないといけないのか分かりませんでした。
別に自分のお酒の話なんか話したくないし、他のアル中の話なんか聞いてもしょうがないと思っていました。
けど行き続けて話していると、自分の飲酒時代の体験、考え、お酒との関係とかが思い出されて、さらに人の話を聞いているとハッとさせられるような気づきがあったりします。
毎週あると行きたくないなぁ、とか話したくない日もあるので、そういう時は無理して行きません。
行きたかったら行く、話したかったら話すなので気も楽です。
はっきりしたことは自分でもわかりませんが、行くことでお酒とのいい距離感が保てているので、断酒が続けられている気がしています。
気楽にゆっくりやる
断酒はこつこつ1日1日の積み重ねですので、焦っては気が持ちません。
まずは今日1日を飲まない、これの繰り返しで、気が付けば3年たっていたような感じです。
これからはもう飲まないぞ!と気負っても断酒にゴールはないので、先のことを考えると、いつまで続けりゃいいの?と気がめいってしまうことがあります。
だからとりあえず今日一日は飲まない、今日一日が自信なければとりあえずこの1時間は飲まない、と設定する目標を短くして、小さな目標を積み重ねていきます。
それでも長く断酒を続けていると、そりゃ心折れて飲みたくなる時も出てきます。
そこで、もうだめだ、もう飲もう、飲んで楽になろう、ってなるんじゃなくて、とりあえず夜まで飲むのはちょっと我慢しよう、それで夜になったらAA行って、思いっきり飲みたいって話してそれでも飲みたかったらストロングチューハイ買おう、と気持ちをそらすことはよくやりました。
焦る気持ちが出てきたら、自分に気楽にぼちぼちやろう、ゆっくりやろうや、って話しかけることをボクは心がけてきました。
断酒をはじめてから、何にでもちょっとおっとり構えることが身についたような気がします。
断酒をしてよかった?
今は素直にやってよかったと思っています。
断酒するとお金はうくし、時間はできます。
飲んでいる時は当時もらっていたおこづかい3万円の大半をお酒に使っていました。
1ヶ月1万なら年間で12万、2万なら24万、3年なら36万~72万円です。
時間は晩酌にだいたい1日2時間、年間700時間、3年で2100時間、飲みに行ったりするともっと時間は使っていたでしょうから、実質もっと酔っている時間はあったでしょう。
これだけのお金と時間があったら、なんでもできますよ。
けどもっと大きい得られたものはお金じゃ買えない健康と気持ちの余裕でしょう。
多分飲み続けていたら、あと10年せずに肝臓をやって最悪死んでいたでしょう。
気持ちもすさんで、何かわからないものにおびえてイライラして、心に余裕がなく鬱にでもなっていたかもしれません。
たまにアル中になってよかったのかも?と思うこともあります。
まとめ
アルコール依存症のボクが3年間断酒を続けれたコツは
の6つです。
少しずつ少しずつやって3年間やめ続けることができました。
けど断酒はやってよかったけど、自分がしんどかったので人に、やろうよ!って勧める気はありません。
この先、ボクもスリップしてしまうときがくることもあるかもしれませんが、そのときはまた一から出直します。
今の断酒生活も気に入っているので、これからもぼちぼち続けていこうと思います。
ありがとうございました。
2021年8月11日追記
東京アルコール医療総合センター センター長の垣渕洋一先生が執筆された『そろそろ、お酒やめようかな と思ったときに読む本』(青春出版社)をYouTubチャンネル『中田敦彦のYouTube大学』で見て読んでみました。
お酒をやめるのに役立つヒントがたくさん書かれた本で、アルコール依存症予備軍のかたにぜひ読んでもらいたい本です。
そちらの紹介記事も書きましたので読んでみてください。
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