アルコール依存症者が「そろそろ、お酒やめようかな と思ったときに読む本」を読んだレビュー

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アルコール依存症

こんにちは『依存症注意報』管理人の「みらはつ」です。

今回『そろそろ、お酒やめようかな と思ったときに読む本』垣渕洋一著(青春出版社)を読んでみましたので、紹介します。

ボクはアルコール依存症ですが、普段ほとんどお酒に関わる本はほとんど読みません。

読むきっかけとなったのはYouTubチャンネル『中田敦彦のYouTube大学』での授業動画を見たことでした。

お笑い芸人オリエンタルラジオの中田あっちゃんのYouTube大学は普段から視聴し勉強させてもらっています。

歴史から文学、時事ネタまで様々なジャンルの話を分かりやすくかみ砕いて、おもしろく解説してくれているので、ためになります。

中田敦彦のYouTube大学 【お酒をやめる①】酒は百薬の長ではない?アルコール依存の危険性とは? はこちら

中田敦彦のYouTube大学 【お酒をやめる②】依存症危険度チェックとお酒をやめる方法は こちら

今回『そろそろ、お酒やめようかな と思ったときに読む本』を読んでみた最初の感想は、もっと早く、アルコール依存症になる前に読みたかったなぁ、でした。

お酒って大人になると自由に飲めるのに学べる場がほとんどありません。

今のボクはアルコール依存症になって専門病院に通って一般の人よりはアルコールの知識は持ち合わせています。

けど依存症になる前は、お酒のイメージって、なんとなく飲みすぎたら体に悪いけど、適度に付き合ったら楽しくなれるし適量だと体にもいい、ぐらいに思っていましたが、気がつけばボクはアルコール依存症になっていました。

そんななんとなく飲んで、なんとなく抱いていたお酒のイメージを根底から覆してくれる本です。

もっと若い時に読んでたらアルコール依存症にはならずに済んだかもなーって、たらればを考えさせてられました。

内容は

  • ほとんどの人が知らないお酒の真実 お酒は薬物です
  • アルコール依存症になる危険性
  • お酒をやめるメリット
  • 禁酒・断酒のやり方、続ける仕組み

を分かりやすく学べます。

アルコール依存症になってしまったボクだからこそ、お酒に少しでも疑問を抱いている方、お酒を少しでもやめようかなって思っている方には読んでもらいたい一冊です。

ほとんどの人が知らないお酒の真実  お酒は薬物です

はじめに、この本ではお酒好きの方には衝撃的な真実を伝えられます。

飲酒は精神的な効用はあっても、身体的な健康効果はまったくない

そしてお酒は脳と体への影響を考えるとれっきとした「薬物」であると。

この事実をしっかり認識したうえでお酒をやめることをすすめています。

この事実は世界的にも広まっていてWHO(世界保健機関)でもアルコールは世界の健康障害で最大のリスク要因、アルコールで死亡する人は世界の全死亡の3.8%にのぼると警鐘を鳴らしています。

お酒はほどほどだったら体にいい、ってなんとなく思っている人も多くいると思うのですが(ボクも思っていました)、これは「酒は百薬の長」という故事があるからですよね。

けどこの酒は百薬の長、実は西暦8~20年ごろの中国、「新」という国の王莽という皇帝が、酒税を徴収しやすくするために考え出したキャッチコピーだったんです。

2000年も信じられているってすごいけど、無知ってこわいですね。

アルコール依存症になる危険性

この本では現状の自分の酒量のレベルとリスクレベルのチェックができます。

簡単な計算式から体に入るアルコール量を計算して自分の酒量把握します。

1日平均でアルコール量男性なら60g、女性なら30gだと「多量飲酒」でハイリスクになり、このアルコール量を摂取し続けるとがんや高血圧、脳出血、など飲酒関連の健康問題リスクが高くなり、10年程度続けるとアルコール依存症になると言われています。

自分に当てはめたらどうでしょう?

ボクは毎日60g以上のアルコールを飲み続けて依存症になってしまいました。

またWHOのスクリーニングテストAUDIT(Alcohol Use Disorders Identification Test)で自分の飲み方のリスクチェックもできますので、試してみてください。

イベントごとでだけたまに飲む機会飲酒だとリスクはまだ低いですが、イベントがなくても定期的に飲酒する習慣飲酒、そしてさらに一歩進んだ夕食の際に飲むことが習慣化している晩酌は依存性が一歩進んでいるのでアルコール依存症予備軍に位置付けられます。

習慣化していつも飲んでいると、やがてアルコールへの耐性ができてお酒に強くなり、ないと物足りなく感じてしまい、多量飲酒が習慣化します。

実際ボクもそうでした。

好きで飲んでいるうちにお酒が強くなり、どこかでお酒が強いのはいいこと、と思っていて、そのうち飲む量は増え、強い酒を求めるようになっていきました。

習慣飲酒を続けて強く依存するようになると早く酔いたい欲求が強くなりますが、昨今はそんなニーズを満たすストロング系チューハイが非常に人気です。

値段も安くてアルコール度数の高いチューハイは飲みやすく女性にも人気ですが中身は「エチルアルコール+人工甘味料」の組み合わせで危険ドラッグといっても過言ではなく、女性のアルコール依存症者が増えている一因だとも言われています。

これも思い当たります、会社が終わったらコンビニに直行してストロングチューハイを買ってグビグビ飲む。

そして家に帰って焼酎で晩酌です。

ストロングチューハイと焼酎はアルコール依存症への近道です

とはいえアルコールなんて合法だし、習慣化しても簡単にやめれる、と思うかもしれませんが、実はアルコールの依存性の高さって違法薬物をもしのぐほどの高さがあるんです。

依存症になった実験動物でアルコールを含む合法薬物、違法薬物で依存症の強さを測る実験をすると、アルコールの依存性は違法薬物のモルヒネや覚せい剤と同等、あるいはそれを上回る結果が出るのです。

依存とは「わかっちゃいるけど、やめられない」状態で、得るものより失うものが大きい状態になっても続けてしまい、そして続けるうちにもっと欲しくなり深みにはまっていくことです。

依存症はブレーキが壊れた車に例えられたりもします。

依存症はいろんな兆候(サイン)が出ますが、アルコールの依存には精神的依存と肉体的依存があり、その兆候も細かく解説してくれています。

そして依存症になっても多量飲酒を続けたら最後にはボロボロの体になる経過も紹介されています。

ボクは依存症にはなりましたが、ボロボロになる手前でお酒を断つことができ、今は健康に断酒生活を続けられています。

お酒をやめるメリット

お酒をやめるときの考え方として悪い面ばかりに目をとらわれるのではなく、

  1. お酒を飲むメリット
  2. お酒を飲むデメリット
  3. お酒をやめるメリット
  4. お酒をやめるデメリット

と多面的に考え、それを書き出すことをすすめています。

それぞれのメリット・デメリットを把握してお酒に対する見方を変えてから禁酒に向かってスタートするのです。

これはボクも依存症になって専門病院に通院しながら依存症講座でやりました。

依存症者はお酒を飲むメリットお酒をやめるデメリットばかりに固執してしまい、お酒を飲むことを肯定しようとしてしまいます。

結局お酒をやめることがイヤで怖いんです。

簡単にはお酒を飲むデメリットお酒をやめるメリットには目が向けられませんでした。

けど時間をかけて、これができるようになって、断酒が楽になるのを感じました。

この本でお酒をやめるメリットとして紹介されているのは

  • ぐっすり眠れるようになる
  • 夕食の量と体重が減る
  • 肌の調子がよくなる
  • 出費が抑えられる
  • 生活習慣病やがんのリスクが低くなる
  • 思考がクリアになる
  • 時間にゆとりができる

が挙げられています。

実際ボク自身も断酒して3年以上が経ちますが、上記で紹介されたメリットは強く感じています。

ボクの場合、さらに上げるなら考え方が若くなり、気持ちも若くなったこと、体を動かし運動することが楽になったことが挙げられます。

お酒をやめるといいこともある!失うばかりじゃない!これに気付けるようになると、断酒は楽になります。

禁酒・ 減酒のやり方、続ける仕組み

禁酒や減酒は意志だけでただやみくもにやっても長続きしません。

実際、依存症と診断される前はがんばっているつもりでしたが、まったく禁酒が続きませんでした。

まずは目的を明確にしてアルコールを「薬物」と認識したうえで計画的に実践していくことが紹介されています。

まずやることは

  • 日記をつけて記録をとり「見える化」する
  • 禁酒の開始を周囲に「宣言」する

ことです。

飲酒日記やパソコンのソフト、あるいはスマホの専用アプリなどを使って記録して数値や気持ちを可視化していく。

また周囲に宣言することで、引っ込みがつかなくなり簡単にはやめづらくなります。

さらに事前に飲む引き金になるものを把握しておき、避けるようにすることも有効です。

そしてうまくいった時はともに喜んでほめてもらう。

また禁酒・減酒のための様々な場面で使える合わせ技、11の工夫も紹介されています。

  • 宴席で上手にふるまう方法
  • お酒を目に入れない工夫
  • 飲みたいという欲求をやりすごす

など組み合わせることで効率よく目標が達成できる工夫です。

禁酒は最初の2週間離脱症状が出るので辛いかもしれませんが、90日ほど続けると脳が学習して習慣が変わり楽になってきます。

ボクは最初の1ヶ月が離脱症状で辛かったです。

けど一日一日を乗り越えて2ヵ月を超えるころには飲まない習慣が定着して、お酒を考えることが少しずつ減っていきました。

ぜひ実践してお酒のない生活を手に入れてみませんか?

まとめ

今さらながら、お酒の危険性を再認識できました。

この本を4年前、アルコール依存症と診断される前に読んでいたら、どうしてたろうなぁ?と考えずにはいられません。

4年前だと、おそらくすでにアルコール依存症だったでしょうから、結局お酒はやめることになったとは思うのですが。

頭ではお酒はメリットのない飲み物、とわかってはいても、それでもまた飲めるようにはなりたい、と心のどこかで望んでいます。

これがアルコール依存症です。

この本はタイトルからも分かるように、どっぶりアルコール依存症者、というよりはどちらかというとお酒飲みすぎの人向けに書かれているのかな、と感じました。

お酒の教科書としては非常に分かりやすく書かれています。

アルコール依存症になって病院で学んだ内容に共通する、お酒で苦しまずにやめるためのヒントがいくつも載っています。

ぜひお酒をやめることに興味がある人は手に取ってもらいたい本です。

ありがとうございました。

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